ビオゴンもりこーのライカ趣味 不気味な魅力 Leica MDa


ニコンレンジファインダーカメラは実に魅力的なシステムですが、ボクは純血主義者ではないので、たまには違うカメラも使ってみたくなります。
 ひとなみにLeicaのひとつやふたつは持っていますので、そんなハナシをここではしてみたいと思います。

普通のLeicaファンでしたら、まずはM3やM4、少しひねくれてVfとかD3なんかのバルナックを使いたがるものですが、ボクはもうとっくにそういった正道を卒業してしまったので、変化球で勢い変てこなLeicaを使ってみたくなったりします。
 今回ハナシのネタLeica MDaもそんなカメラのひとつです。



右の写真は、かれこれ15年ほど前にある外タレとのツーショットですが、そんな事はこの際どうでも良くって、首から下げているカメラはLeica Tfです。Tfに赤ズマロン2.8cm/f5.6を着けて、ニコン党員であることを僅かに匂わせるために、日本光学製の2.8cmファインダーを乗せています(^^ゞ。
 この時はこの外タレのウェルカムパーティーを取材させて貰ったときのカットなのですが、大胆にもこの赤ズマロン1発で撮影を敢行しました。そして楽屋で彼女も着替えて気が抜けた状態での記念撮影をして貰ったものですが、撮影を依頼した方はビックリされていましたねぇ。こんなの(とまでは云いませんでしたが)でチャンと写るんですか?と云いたげなのが顔に表われていました(@_@;)。
 赤ズマロン2.8cm/f5.6というレンズは開放からビシッとした像を結ぶ素晴らしいレンズで、当時ボクが最も愛用していたレンズです。そしてこのTf。レンジファインダーカメラでありながらレンジファインダーを内蔵していないカメラで、つまりはそのままでは何処をどう撮っているのかが判らない。ですから、普通は軍艦部の上に別付けファインダーを乗せて撮影します。
 レンジファインダーが内蔵されていない、ということはピント合わせは目測によるもので、その目測の距離をヘリコイドに刻まれた距離表示に合わせて撮影します。
 普通は広角レンズを装着して撮影しますから、被写界深度の深さを利用して、よほどの近距離でなければまずはピントが合います。
 一度この醍醐味を味わってしまうと、いちいちレンジファインダーの二重像でピントを合わせて、などというのは面倒になってしまいますし、あらかじめ距離目盛を設定しておく「置きピン」にした方が迅速に撮影できるので、そのリズム感とともに弩壺に嵌まってしまいます。
 更にその病状が悪化(?)すると、勢いノーファインダーで撮影する、という快楽の境地に達するのですが、ここではそのハナシは端折りましょう(^O^)。


そしてMDaのハナシ。
 かつて写真家の高梨豊氏が、MDだかMDaだかを差して「このカメラを使うと街が戦場のように写るのではないか」と言ったとか。これこそこのカメラに対する最大の賛辞としか思えません。
 21mmや28mmなどの広角レンズを装着して、ピントは2.5mあたりに固定。あらかじめあたりの光量を読んでおけばシャッタースピードすら固定にできます。つまりあとはフィルムを巻き上げて、ここだ!という時にシャッターを押すだけ。ビビッときた瞬間には撮影し終えている訳です。
 ライカはM3が最高!という御仁から、こういう質問が来そうです。曰く「何もファインダーの無いカメラでなくても、M3のようなカメラでファインダーを覗かずに撮影すれば同じではないか」と。
 これは理科系的な発想ですね。ボクのような文科系の人間、とりわけ感覚のみで生きているような人間には、それは全く違う!と言い切ることが出来ます。
 つまり、ファインダーが無いカメラというのは自分の目測以外に頼るものが無い、という或る種追い詰められたような状況下で撮影するので、心構えが違ってきます。まさに一触即発でシャッターを切る、という研ぎ澄まされた感覚でレリーズする訳です。
 その緊張感が堪らなくイイんですね!


 

ライカについて詳しくない方のために。
 MDaというカメラはMDの後継機で、MDがM2からレンジファインダーを取り除いたカメラだったのに対して、MDaはM4からの派生機です。
 従って、フィルムの装着はクイックローディングになり、巻き戻しノブはクランク式に改良されていながら、本来特殊な用途に製造されたものなので、M4の中折れの巻き上げレバーでは不都合が生じるためにM2用の大きなもののままになっています。
 その特殊な用途というのは、郵便局の記録撮影用などで、いちいちピントを合わせる必要のない場合を示しますが、これを逆手にとって一部の広角マニアは「目立とう精神」から街にMDaを持ち出して撮影したがる訳です。
 因みにその特殊用途ゆえに、総てクローム仕上げでしたので、これは後塗り機です。しかし、この異様なスタイルにブラック塗り仕上げというのは迫力が増し、ボクはかなり気に入っています。

このMDaに一番似合うレンズは何と云ってもスーパーアンギュロン21mm。「F近藤」氏によると「地球支配を目論む悪人集団が作り上げた殺人ロボット」のような名前ということになります(^O^)。
 ライツがシュナイダーに製造委託をしたこのスーパーアンギュロンには、最初にf4、その改良型のf3.4(白鏡胴)、そして最終ヴァージョンのf3.4(黒鏡胴)があります。いずれも対象型のレンズ構成で、後レンズは幕面すれすれまで接近していますので、M5やM6、CLに装着は出来ても測光は出来ません(製造番号の若いものは装着すら出来ません)。
 ボクはこれらf4とf3.4の黒をかつて所有していたことがあるのですが、f4のレンズではいくら絞っても周辺光量落ちが改善されず、f3.4ではf8まで絞らなければ同様の光量落ちがイヤになり、ツアイスのビオゴン21mm/f4.5に乗り換えたいきさつがありました。
 しかし、もう一度f3.4の黒を買い戻した理由は「ボクの大好きな写真家、ジャンルー・シーフが愛用していたから」の一点(^^ゞ。
 彼の場合、初期はブラック塗りのM2、その後はやはりブラック塗りのM4でしたが、何かの写真集のポ−トレートで一見して「あっ、アンギュロンだ!」と判る先折れのフードがカッコ良かったからです。
 まあ、何につけ動機などというものは単純なものが多いのが常ですが、軍艦部上に乗せた別付けファインダーを覗きながら縦位置に構えると、気分だけはシーフになって幸せになれるのですから考えてみれば安いものです(^^♪。




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